「スキューバダイビングの時は必ずウェットスーツを着なければいけないんですか?」
たまにこんな質問をされることがあります。
このような質問をされたら、ダイビングをされている皆さんでしたらなんて答えますか?
日本の伊豆であったり千葉や和歌山などで普段潜っている人でしたら、
ウェットスーツ着ないと寒くて無理だよ!と思うかもしれません。
ですが、真夏の沖縄であったり、南国の海外でダイビングをする場合は、水温が暖かいので必ずウェットスーツを着て体温を保持しなければいけないということもないと思います。
全身タイツのウェットスーツなんて着たくない!と思う体験ダイバーが多いのも事実です。
では、真夏の沖縄や南国であれば、ウェットスーツを着ないで潜っていいのか?
結論は着用すべきです。
ではなぜ、着用すべきなのか。私自身の体験談を踏まえた上で、その疑問点について今回は少しお話ししたいと思います。
ウェットスーツって着ないといけないの?そんな疑問を解決します!
目次
1.ウェットスーツの役割その①保温効果
ウェットスーツの役割として第一に挙げられるのが、保温効果です。水温が28度以上あれば、水着だけで水中に潜っても暖かくて気持ちいいかもしれません。ですが、ダイビングはおおむね40分は海の中にいます。
おそらく大体の人は20分を過ぎたあたりから、だんだんと寒く感じるはずです。30分を過ぎると、早く陸上にあがりたいと思うことでしょう。せっかくの楽しいダイビング、寒くてダイビングどころではなくなってしまっては勿体無いです!
ちなみに、海の中は水面近くは暖かく、水深が深くなるにつれて水温が下がっていきます。入った瞬間は暖かくて気持ち良い!ウェット着なくて正解!と思っても、20メートルよりもっと潜る場合は水温が一気に25度ぐらいになってしまう場合も…。
25度はウェットなしはキツイです。かといって、自分1人だけ別行動をすることは許されません。震えながらグループについていくしかなく、辛い思いをします。
1-1.ウェットスーツの種類

ウェットスーツにはいくつか種類があります。
まずは、長袖・半袖・長ズボン・半ズボンかによって違いがあります。
フルスーツと呼ばれる全身繋がっていて、長袖長ズボンタイプの物。
シーガルスーツと呼ばれる半袖長ズボンタイプの物。
ロングスリーブスプリングと呼ばれる長袖半ズボンタイプの物。
スプリングと呼ばれる半袖半ズボンタイプの物。
そして次に、生地の厚さによって違いがあります。
3mmスーツ=主に夏場の沖縄などで利用されることが多いです。
5mmスーツ=主に夏場の伊豆や千葉、和歌山などで利用されることが多いです。
セミドライ=春先やだんだんと寒くなってきた時期は、セミドライと呼ばれるタイプを着ると暖かいです。
ドライスーツ=主に冬場のダイビングに利用されます。セミドライまでは体が濡れるのに対し、ドライスーツは水が一切入ってこないので冬場でも快適にダイビングをすることが出来ます。
自分がよく潜る場所、潜る時期などをしっかりと決めた上で、ウェットスーツを選ぶ必要があります。また、ウェットスーツは2つ以上持つことが多いので、場所や時期によって使い分けて、しっかりと体調管理をしましょう。
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1-2.ウェットスーツのしくみ
ウェットスーツは体とスーツの間に水を入れて、保温をするようになっています。なので、サイズの合っていないウェットスーツを着ると、その役割が失われてしまいます。
ウェットスーツはしっかりと自分の体に合ったものを着る必要があります。
1-3.注意点
体験ダイビングやレンタル器材の場合は、意図としないウェットスーツのタイプを貸される場合があります。寒がりなのに半袖短パンタイプのスプリングを渡されることもあります。
しっかりと要望を伝えるか、ウェットスーツは持参するなどして対策してください。
また、ラッシュガードは一切保温性はありません。ラッシュガードで潜るのは水着で潜るのと変わらないので注意してください。
冬場のドライスーツの利用は、注意が必要です。ウェットと違い、使用方法や必要な道具が増えます。ドライスーツを始めて利用する場合は、しっかりとインストラクターのレクチャーを受けて使うようにしてください。
1-4.ウェットスーツを着て命が助かった例
ウェットスーツを着て命が助かった例もあります。それは遭難時の出来事です。いくら水中では多少寒くても我慢できるなどといっても、トラブルに巻き込まれ、水面で何時間も遭難してしまう場面に出くわす場合があります。
その場合、ウェットスーツを着ていないとあっという間に体温を奪われ、最悪の場合、低体温症で亡くなってしまうかもしれません。ウェットスーツの果たす役割は色んな場面で発揮します。
2.ウェットスーツの役割その②怪我の防止
保温効果以外の役割として重要なのが、この怪我の防止。ウェットスーツを着ることによって水中での怪我を防止してくれる役割があります。
水中で怪我はしない!それは初心者のやること。上級者やもう100本以上潜っているから大丈夫などと思っているあなた、それは間違いです。怪我は本当に意図としない場合でもよく起こるものです。
2-1.水中は危険だらけ
水中は危険なものだらけです。岩や珊瑚などでも簡単に手や足を切って出血してしまいます。特に初心者の方ですと手を使って泳ぐことがまだあるかもしれません。
手を使って泳いでしまうと、手を岩や珊瑚にぶつけてしまいます。また、足に気がまわらない人もいるでしょう。膝をついてしまう場合もあります。
ウェットスーツで保護されていないと怪我だらけになってしまいます。
2-2.怪我防止のためにウェットスーツは長袖長ズボンを
怪我防止のためですと、ウェットスーツは半袖であったり、半ズボンであると全く意味をなさないです。必ずウェットスーツは長袖長ズボンのフルスーツタイプを選ぶようにしましょう。
特に初心者の頃は心がけてください。
2-3.怪我をすると水中でしみる
ダイバーにとって怪我は一大事!怪我をしてしまうと、ダイビング中にしみて痛いです…。また、どうしても怪我している時にダイビングを繰り返すと治りかけている怪我が治りにくくなってしまいます。
悪循環になってしまうので、怪我はしないほうがいいです。
3.ウェットスーツの役割その③クラゲなどの外敵から身を守る
怪我についてご説明しましたが、クラゲなどから身を守る、これもまたウェットスーツを着用するべき重大な理由の1つです!
特にセブ島でのダイビングをする際は、8月頃からクラゲが多く現れ始め、9月なんかは特にひどかったです…。目を凝らすと一面クラゲだらけ…。とくに触手だけの場合が多く、細長く目に見えないので予防のしようがありません。
3-1.セブで水着だけで潜ると悲惨な目に
私が実際にクラゲに刺された後の写真です。
9月頃のセブでダイビングをする際は、しっかりとフルスーツを着用してください。クラゲの反応が出にくい体質の人はいいのですが、私は特にクラゲに刺されると1週間は痒みがひきません。
うっかり、短パンだけで潜ると痒みで寝れずに辛いです。
3-2.痒みだけでは済まないことも
かゆいだけならいいのですが、クラゲにはたくさん種類があり、種類によってはショック症状を起こす場合や、ひどい炎症を引き起こしてしまう種類もいます。
お盆を過ぎた日本でも、よくクラゲが出没します。クラゲは水中が暖かくなってくると増加してくるので、対策をとるようにしてください。また、現地のインストラクターがその海のプロフェッショナルなので、クラゲが出ているのかなどの情報を聞くようにしましょう。
4.ウェットスーツの役割その④毒を持つ生物から身を守る
これも怪我やクラゲ同様で、毒を持っている生物に思わず触れてしまった時に、最悪の事態から間逃れることが出来ます。初心者の場合ですと、どの生物が危険で毒を持っているかの区別がつかないと思います。
思わず手で触ってしまったり、うっかり体と接触することもあります。
そんなときでも、ウェットスーツを着ていてば、最悪の事態から逃れることができます。ですが、ウェットスーツには毒がついてままになっている場合があるので、触らずにしっかりと洗ったり毒物を取る必要があります。
4-1.魚よりも危険なやつら
実は毒を持つものは、魚に限ったことではありません。魚は動くので逃げたりしますが、動かない植物のほうが触れてしまうことが多く、危険が多いです。

特に毒を持ってよく触れてしまうものの代表として『シロガヤ』が挙げられます。白色をした葉っぱで、セブの海でしたら比較的そこらへんに生えている植物です。
ですが、こいつにうっかり触れると激痛が走ります。痛みが長引くことは少ないみたいですが、すぐに何かに触れたとわかるほど痛みが走るらしいので気をつけましょう。
次にファイヤーコーラルと呼ばれる珊瑚の仲間です。ウェットスーツを着ていなくてうっかり膝をその珊瑚につけてしまったらアウト。2週間は腫れがひきません。
これが実際の写真です。右足だけが腫れ上がり、ほぼ左足の2倍になっています。これが2週間続きました。
実際私は、トレンカと呼ばれる薄い水着を着ていましたが、簡単に貫通してしまい、激痛が走り、その足の方だけ2倍に膨れ上がってしまいました。幸い大事には至りませんでしたが、その間はひたすら軟膏やムヒ、氷水で冷やす毎日でした。それ以来、貫通しない厚さのあるウェットを着るようにしています
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5.ウェットスーツの役割その⑤浮力

保温や怪我などの予防以外にあげられるウェットスーツの役割は、浮力が確保できることです。ウェットスーツを着ることによって、体が沈まずに浮くことが出来ます。
それでは、ダイビング時に沈まないのでは?と思われますが、ダイビング時にはウェイトという重りをつけて潜るので問題はありません。では、なぜ重りをつけてまでして浮力が大事なのか?
5-1.緊急時に浮くことができる
緊急時に浮くことが出来る、これは結構重要です。とくに水面でしばらく待機しなくてはいけなくなった場合、その時にウェットスーツの浮力があるとだいぶ楽です。
なにもつけていない状態でも仰向けで浮いていられます。水着だけですと、浮いているのが困難なのでとても助かります。
5-2.ダイビング以外でもウェットスーツは大活躍
シュノーケルだけのときでも、川で遊ぶときなどでもウェットスーツは大活躍です。浮力があるのとないのでは、やはり安心感が違います。シュノーケルのときも、ウェットスーツを着ていると楽なので是非着てみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ウェットスーツの重要性がわかりましたでしょうか?
初心者の頃は、特に寒さに対して強がったり、見た目の問題であったり、そもそもウェットスーツを着るのが面倒だったり、ピチピチのウェットスーツを着るのにてこづって手の皮がむけたりと…あることでしょう。
ですが、ウェットスーツは寒さから身を守るだけではないことを理解してください。
外敵から身を守り、遭難時の緊急事態から身を守ってくれます。ウェットスーツを着るか着ないかによって、命にかかわってくる重大なことなのです。
是非、面倒だからや、寒くないから、ちょっとの時間だけだし…とウェットスーツを着るのを拒むと、後で大変なことになりますよ。
ウェットスーツを着ないことによって、私が引き起こした事態は、クラゲなどによる刺され、ファイヤーコーラルによる足の腫れ、寒さからくる体の震えです。
こんなことにならない為にも、しっかりとウェットスーツの重要性を知り、自分に合ったウェットスーツを購入し、楽しく安全で安心なダイビングを続けていってください!
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