※追記:2020年10月、フィリピン政府はリタイアメントビザ(SRRV)の発給手続きを停止することを発表しました。
フィリピン移住をお考えの皆さん、またはこの記事をご覧になっている方は第二の故郷をお探しの方もいるのではないでしょうか?または不動産投資先として、リスク分散のため…と色々とリタイアメントビザを取得する理由は人それぞれだと思います。
永住をしないのに永住権を取得するのは、今や当たり前となっている時代かもしれません。現に知っている周りの方々は、永住はしないけど永住権を持っている人が多くいらっしゃいます。
日本以外に一つ、どこかの国に永住権を持っているとなにかあったときの場合、いいかもしれません。今回はフィリピンの永住権、リタイアメントビザについて特に詳しく説明していきたいと思います。
リタイアメントビザは私は取得していませんが、親しかった友人が取得しました。すべて個人で取得し、そのほとんどに同行させてもらったので、ある程度実体験を元にお話できると思います。
ただ、フィリピンというお国柄、法律が変わったり内容が変わったり、金額が変わったりとしょっちゅう起こりますので、内容が変更されている場合があります。
※今回の話は、2015年4月頃にビザを取得したお話です。ビザ関連は法律がよく変わります。現在は異なっている場合があるので注意してください。
1.フィリピンの主要なVISAの種類一覧
・観光ビザ (9A)
・労働ビザ(9G)
・投資家ビザ(9D)
・結婚仮永住ビザ・結婚永住ビザ(13E)
・外国人労働許可証(AEP)
・特別就学許可(SSP)
・バリックバヤン・ビザ
・割当移住・永住ビザ(13E)クウォータービザ
・リタイアメントビザ(SRRV)
*省いているものもありますが、だいたい主なビザはこのような感じです。今回の記事では、主に一番下のリタイアメントビザ(SRRV)と、クウォータービザというのも近年人気なのでその説明も少ししたいと思います。
観光ビザについて
フィリピンでビザなしの滞在期間
フィリピンでは、2016年現在30日以内の滞在でしたら、ビザなしで入国することが可能です。ただ、帰りの有効なチケットを所有していることが入国の前提となりますので、必ず復路のチケットを買ってください。
フィリピン⇨香港・台湾などの日本ではなく第3国でも大丈夫です。
観光ビザ延長について
観光ビザは現地で簡単に延長出来ます。30日を越えて滞在したいと思ったら、30日を超える前までにセブシティでしたらJセンターモール内にあるオフィスに、マクタン島でしたらガイサノマクタン内にオフィスがあります。
スタッフによって差はありますが、オフィス内は短パン・サンダルが基本的には禁止となっているみたいなので、長ズボンと靴で行ったほうがいいです。
観光ビザ延長についてはここでは詳しく書きませんが、延長すると29日間滞在が延びます。その後もっと延長したい場合は、2回目からは2ヶ月・半年と一気に申請も可能です。
また、2ヶ月を越えてフィリピンに滞在する場合にはACR-I Cardと呼ばれる外国人登録証を発行されます。身分証にもなるので、便利です。
そして観光ビザは最長36ヶ月、つまり3年連続して滞在し続けることが可能です。なので定年退職後に仕事をせずに住みたい方はリタイアメントビザではなく、観光ビザを延長して滞在を続ける方も結構多くいらっしゃいます。
1回の延長でだいたい1万円前後費用がかかります。そこはまた機会がありましたら、観光ビザの記事を書きたいと思います。
2.リタイアメントビザ(SRRV)について
それではリタイアメントビザ(SRRV)について詳しく説明していきたいと思います。
”特別居住退職者ビザ” 通称リタイアメントビザ (SRRV)とは?
これはフィリピン共和国の出入国管理局が外国人及び以前フィリピン人にフィリピン退職庁(PRA)を通じて発行する特別な一時渡航者用査証です。所有者はフィリピンに永住するというオプションと複数回入国ビザの特権を与えられます。
申請できる人の条件として
犯罪を犯したことのない方
必要な医療検査をパスした方
投資ができる条件の方
が挙げられます。タイやインドネシアなど基本的に50代以上しか申請できないのに対して、フィリピンは35歳以上であれば申請が可能です。
その他、警察発行の無犯罪証明書や健康診断もあり、それもパスしなければなりません。
ですが、35歳から取得できるとあって若き投資家などには人気みたいです。ですが、入会金・年会費・預ける金額が巨額です。それについては次のビザの種類と特色のところで説明していきます。
リタイアメントビザの種類とそれぞれの特色
SRRVクラシック | SRRVスマイル | SRRVヒューマン・タッチ | |
---|---|---|---|
1.年齢と要件 | 35歳〜49歳-50,000ドル 50歳以上20,000ドル(年金なし)10,000ドル(年金あり) | 35歳以上一律20,000ドル | 35歳以上一律10,000ドル(退職者は治療・療養サービスを必要とする既往症を持っていること、月々1,500ドル以上の年金額を示す証書を提出すること) |
2.預金の投資への転換 | 投資への転換ができる。投資額は50,000ドル以上であること | 銀行預金として保持。投資に利用不可、ビザの取り消し後に引き出し可能 | スマイルと同様 |
3.申請料 | 本人1400ドル、同伴者一人当たり300ドル | 本人1400ドル、同伴者一人当たり300ドル | 本人1,400ドル、同伴者一名限り300ドル |
4.会費 | 年会費360ドル | 360ドル | 年会費360ドル |
5.預金先銀行 | PRA指定銀行 | PRA指定銀行 | PRA指定銀行 |
6.申請書類 | 申請用紙・パスポート原本・健康診断書・無犯罪証明書・写真12枚(同伴する配偶者や子供の関係を示す書類・年金証書) | 申請用紙・パスポート原本・健康診断書・無犯罪証明書・写真12枚(同伴する配偶者や子供の関係を示す書類) | 申請用紙・パスポート原本・健康診断書・無犯罪証明書・写真12枚・同伴する配偶者・子供の関係を証明する書類・健康保険・年金証書 |
*コーティシーについては、元フィリピン国籍保有や元大使や外交官などが対象のため、省きます。
3.クウォータービザについて
ここではクウォータービザについて少しご説明していきたいと思います。クウォータービザも永住ビザとして知られています。ではリタイアメントビザとは何が違うのか?
クウォータービザとは?
人数制限があり、年間50人まで。応募期間がありその期間に応募しないと取得は不可能である。年齢制限なし。年会費はなしまたは1000円以内とリタイアメントに比べてかなり格安。
最初にかなりお金がかかるが、取ったらそんなにお金がかからない。就労可能。個人での取得はほぼ不可能で代理店を経由する必要があり。
計3回ほどフィリピンに行く必要があるので、日本にいながら取得したい人には厳しい。
リタイアメントビザとの違い
リタイアメントビザ | クウォータービザ | |
---|---|---|
労働 | 可能 | 可能 |
申請料 | 1,400ドル | 不明 |
預け金 | 20,000〜50,000ドル | 申請時に50,000ドル送金、その後は返金してもらえる |
年会費 | 360ドル | なし |
年齢 | 35歳以上 | 20歳以上 |
4.フィリピンでリタイアメントビザを取得するには
フィリピンでリタイアメントビザを取得するには、二つの方法があります。一つは代行業者に取得を依頼する方法です。もう一つはリタイアメントビザは個人での取得も可能です。英語が堪能であれば個人でも取得できます。
個人的には、多少高くても代行業者を使うのがオススメです。ですが、フィリピンに現在住んでいて時間が比較的ある方で英語が話せれば、個人取得も案外スムーズにできます。
ビザの取得代行業者
管理人もフィリピン人を日本へ招く際に観光VISA取得でお世話になった会社です。
様々なツアーを扱っているセブの旅行会社です。リタイアメントも取り扱っており、私どもも今回最終的にはこちらの会社にお世話になりました。
▶︎JRエクスプレス
代行料が600ドル〜というおそらく一番安いと思われる代行会社。
▶︎PILIP
基本的にリタイアメントビザの取得のための代行費用はおおむね日本円に換算して7万円〜20万円ほどが平均価格となっているようです。フィリピンの滞在宿泊先の手配や送迎などを行ってくれるところもあるのでそういうのを利用すると値段は上がりそうです。
ただ、もうフィリピンに滞在していて取得のためだけの代行をお願いしたいのであればおおむね10万円前後なのではないでしょうか?
*こちらは代行費用のみです。リタイアメント取得のための預金やその他支払いが別にかかります。
自力でリタイアメントビザを取得する方法と流れ
今回はこちらをメインに話を進めさせていただきます。実際に私が去年の5月頃に個人でリタイアメントビザを取ったときの流れです。
❶情報収集
まずはなにもわからなかったので、情報収集から入りました。いろいろ検索をしていると、個人で取得出来そうなことがわかります。しかも専任サポーターがついてアシスタントしてくれるそうです。
ただ、マニラに行かないとダメと書いてあったのでセブにはないのか詳しく調べてみると、最初はウォーターフロントセブシティに退職庁のオフィスがあるとネット検索すると出てきました。
実際ウォーターフロントへ行くと、オフィスはありませんでした。かなり昔の情報だったので現在はクラウンリージェンシーセブシティホテルに移転し事務所があるそうです。
❷クラウンリージェンシーへ行く
次に、なにも書類とか持たないのでいいのでまずはクラウンリージェンシーホテルへ行きましょう。セブシティの方です。ホテルに着いたら少し場所がわかりづらいところにあるので、ホテルの人に聞いた方が早いです。
実際は少し離れたエレベーターで2階へ行ったところにあります。
こちらがSRRVのオフィスです。平日のみ空いており、朝9時ぐらいから17時まで開いています。
店内には日本語で書かれたSRRVのパンフレットや、セブポットなども置かれていました。お客様と話し中でなければ中のスタッフに声をかけてリタイアメントビザを取得したい旨を伝えます。
❸担当スタッフと今後について話す
ここから先は完全に英語かビサヤ語のみです。隣でずっと聞いてはいましたが、英語力が皆無なので申し訳ないのですが詳しい説明はできませんが、友人から聞いた話を要約して伝えます。
友人はSRRVスマイルを取得予定です。
リタイアメントのパンフレットです。種類は4種類で、投資に使えるかどうかが変わってきます。
パンフレットの裏面。
・銀行口座は作らないでOKだそうです。指定の銀行口座に20000ドル=300万(当時のレートは120円なのでもう少し高かった)を振り込むのですが、日本からの送金のみ。フィリピンに20000ドル相当を持ち込んでもダメだそうです。
・友達の作ったスマイルの方では、預金の引き出しは一切不可。リタイアメントビザ返納のときに、利子がついて返金される仕組み。クラシックなどは預金を投資に使うことが可能。
このような細かい話をしていたそうです。その後に記入用紙をもらいます。それに記入をしましょう。それは家に帰ってからでOK。
見にくくてすみません。。だいたいこのような感じの種類です。最後のやつは健康診断書なので、記入しなくてOKです。
❹日本へ帰り無犯罪証明書を取得と振り込み
これに関してはフィリピンにいても取得はできますが、郵送でのやり取りのために2ヶ月ぐらいかかるそうです。なので、日本へ帰り警察署へ赴き取得した方が早いかと思われます。
ただ、日本で手続きをしても2週間ほどかかるので注意が必要です。無犯罪証明書は未開封のままにしてください。開けて見てはダメです!
振り込みに関しては、スマイルであれば20000ドルを指定銀行に振り込む必要があります。これは日本からでしか出来ないので一緒に済ませましょう。指定銀行先など忘れずにメモしておき、振り込み証明書を提出する必要があるので失くさず保管します。
❺無犯罪証明書を領事館で英訳してもらう
無犯罪証明書は日本語で書かれたやつをもらうので、英訳してもらう必要があります。領事館へ行って翻訳してもらいます。
申請は平日の午前中のみ。受け取りは午後2時から受け取れます。申請料は確か1700P前後でした。
❻もう一度SRRVオフィスへ行く
ここまで出来たらオフィスに一度行きましょう。健康診断書以外の種類の記入、有効なパスポート、写真12枚(2インチ × 2インチ)、無犯罪証明書の英訳、振り込み証明書です。
配偶者など本人以外にもリタイアメントを取りたい方は別途種類が必要です。
❼健康診断へ行く
ここに関しては、実際にサポーターがついてきてくれますのでついて行って言われたやつを受ければ大丈夫です。連れて行かれたのはちょっとローカルな病院。。。
そこで採血・採尿・検便・血圧・脈拍・レントゲン・心電図・話し合いが行われます。病院には人が沢山いましたが、リタイアメントの別枠なのか比較的すぐに終わりました。1時間ちょっとぐらいです。
採血はとても太い針だったと言っていました。フィリピンで注射針はちょっと怖いので嫌な顔をしていたら、奥から新品を出されたそうです笑
不安な方は新品目の前で持ってきて使って!と言った方がいいです。
ここでの健康診断料は1710Pでした。ちなみに、個人で取得の場合はすべての交通費もかかります。病院の往復ももちろん実費。車がない方はちょっと大変かもしれません。
この日は健康診断が終わって終了でした。
❽申請料とパスポートを預ける
ついに最終段階です。最後に申請料として1750ドルを支払う必要があります。(申請料は1400ドルだったはずですが、聞いたら1750ドルとのこと。なにが上乗せされたかは不明)。実は友人がドルを持っていなく、またドルを両替できるところを知らず…。これには参ってしまいました。
日本へ帰ってドルを両替して持ってくるか悩んでいたのですが、結局私たちはこの最終段階の時点で旅行会社に頼むこととなりました。
ですが、SRRVオフィス自体もビザの件数取得にノルマがあるらしく、この時点での旅行会社への変更でとても嫌な顔をされました。この取得が旅行会社のものになってしまうかたです。笑
注意点:パスポートを預けて申請開始すると、申請終了までの1ヶ月〜2ヶ月間はパスポートが戻ってきません。日本へ帰る予定があるかたは用を終えたあとに申請しましょう。また、その間の観光ビザ延長に関してはしなくて問題ないということなので大丈夫です。
ちなみに、申請取り消しすると初めからやり直しです。気をつけてください。
申請料の支払いはドルで振り込みです。銀行に行って振り込んでその証明書を見せる必要があります。そのままドルをオフィスに持っていくわけではないので注意です。
❾リタイアメントビザを受け取る
私たちの場合は約1ヶ月かかりました。マニラから郵送で届くらしいので時間がかかるみたいです。マニラだと2週間ほどでできるらしいので、急ぎたい場合はマニラで申請するのがいいかもしれません。
リタイアメントビザはパスポートにもビザの紙が貼られますが、それとは別にカードもくれます。Iカードがなくなり、これがその代わりにもなるそうです。
リタイアメントビザ取得完了です!ですが、これを取得しても出国税はかかります。航空券は片道分のみでも大丈夫になったそうです。就労は可能ですが、届け出が必要ですので注意してください。
まとめ
実際に終わってみて、英語が出来る人であれば個人の取得でも案外スムーズにいけるなという印象でした。実際に何度かクラウンリージェンシーまで足を運んだり、日本へ行ったりと手間はかかるので、その総合的な費用も含めると代行業者を利用しても決して代行料は高くないという感じです。
実際に日本までの航空券や無犯罪証明取得に時間がかかるので、日本に住む家がもうないかたは余計な費用が発生すると思います。
現在日本に家があり、日本に用があり行き来しているかたには個人での取得もオススメします!ですが、もうフィリピンでずっと生活をしていて日本へはそんなに帰らない人は代行業者を利用した方がいいでしょう。
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