ジョリビーとマクドナルドの戦いの行方
マクドナルドやケンタッキーフライドチキン、ミスタードーナツやサブウェイ・ピザハットなどが、すぐに浮かんできますよね。
では、フィリピンで同じ質問をすれば、どんな答えが返ってくると思いますか?
ほとんどの人が、こう答えるでしょう。
「Jollibee(ジョリビー)!」
「ん? ジョリビーってなんだ?」と、思いますよね。日本人には馴染みのないファーストフード店の名前です。
▶︎【ジョリビー(Jollibee)】フィリピンNo1ファストフード完全攻略!全メニュー紹介
なぜならジョリビーは、フィリピンで生まれたローカルなファーストフード店だからです。フィリピンでは赤い看板に「Jollibee」と書かれたお店を、街中のあちらこちらで目にします。
ジョリビーの店頭に置かれているのは、蜂をイメージした可愛らしいキャラクターです。Jollibeeはもともと、jolleyなbeeという意味です。日本語だと「ゴキゲンな蜂」の意味ですね。
ジョリビーは基本はハンバーガーショップですが、チキンナゲットやパスタのほうが人気があります。フィリピンの人たちは、ジョリビーが大好きです。
どのくらい好きなのかといえば、場所によっては普通に歩いて10分ほどの通りに、ジョリビーの赤い看板を掲げたお店が8店ほどもあります。ジョリビーのお店から次のジョリビーの看板が見えています。
しかも、どのジョリビーもお客さんであふれています。しかも、お客さんはみんな笑顔を浮かべています。チキンナゲットやパスタを、幸せそうに頬ばっています。
ジョリビーは間違いなく、フィリピンの人々を幸せにしています。フィリピンでファーストフード店といったら、なにをおいてもジョリビーなのです。
フィリピンにおけるファーストフード店のシェアNO.1を誇るのは、もちろんジョリビーです。ジョリビーの前では世界のマクドナルドさえ、かすんで見えてしまいます。
実際のところ、店内が混み合うジョリビーに比べると、マクドナルドはとても静かでゆったりと落ち着けます。読書やネットを楽しみたいなら、マクドナルドに限ります。
しかし、世界のマクドナルドにとっては、フィリピンのこのような状況は許しがたいもののようです。マクドナルドといえば、世界のどこへ行ってもハンバーガーのシェア率NO.1です。
ところが世界で唯一、トップになれないのがフィリピンなのです。なぜならフィリピンにはジョリビーがあるからです。これはマクドナルドにとっては、大きな屈辱です。
そこで今、マクドナルドは総力をあげて、ジョリビーを打ち負かそうとしています。マクドナルドとジョリビーのシェア争いは、このところヒートアップする一方です。
今回はマクドナルドとジョリビーの仁義なき戦いにスポットを当てながら、ジョリビーがなぜフィリピンで圧倒的な人気を誇っているのかについて紹介しますね。
ジョリビーとマクドナルド:国内で競争が過熱
まずは、フィリピンの情報サイトである Entrepreneur に掲載された記事「ジョリビーとマクドナルド:国内で競争が過熱」を翻訳して紹介しましょう。

政府が地方重視の開発方針を発表する以前から、国内最大手ファストフードチェーンの2社は首都圏を飛び出して事業を拡大しています。マニラ以外で進出した地域を見てみましょう。
フィリピンにおける市町レベルでの経済成長は、ファストフード店があるかないかによって計られることが、しばしばあります。特にジョリビーやマクドナルドが、その指針として用いられがちです。
この2大フードチェーンですが、それぞれ1980年代初頭にハンバーガーやチキンナゲット・パスタなどの販売をはじめて以来、激しい競争が続いています。
この2社が地方都市に新店舗をオープンすると、まるでその市や町の経済成長が約束されたかのように考えられることもあります。
アントレプレナー・フィリピンがそれぞれのホームページと携帯アプリから収集した情報からは、フィリピン国内1,500以上の地域のうち、実に180以上にこの2つのファストフードチェーンが存在することがわかりました。
これらの地域でジョリビーとマクドナルドは、併せて700以上の店舗を構えています。そのうち60%がルソンに集中しており、残りはビサヤ諸島からミンダナオ島の各地域に散らばっています。
ジョリビーとマクドナルドは、常に同じ地域に出店するわけではありませんが、2社が進出していない都市にはいくつかの共通点があります。
ミンダナオの遠隔地には両者ともに店舗を構えておらず、またイスラム教徒ミンダナオ自治区にはジョリビーは1店舗ありますが、マクドナルドはありません。

以上、Entrepreneur に掲載された記事を翻訳して紹介いたしました。
▶ 参照元:
ジョリビーはなぜマクドナルドよりも強いのか?

ジョリビーとマクドナルドは、フィリピンのさまざまな街角でシェアを争っています。しかし、今のところ、圧倒的に優位に立っているのはジョリビーです。
2015年末の時点でのフィリピン国内の店舗数は、ジョリビーが918店、マクドナルドが481店です。前年比と比べてみると、ジョリビーは60店舗増えていますが、マクドナルドは24店舗にとどまっています。
ジョリビーの店舗数は、マクドナルドの1.9倍を誇っています。ジョリビーはその傘下にバーガー・キング56店を抱えているため、実際にはマクドナルドの2.1倍もの店舗を有していることになります。
まさに、ジョリビー強しです。マクドナルドもフィリピン以外の地域では見られない、なりふり構わぬ営業戦略でジョリビーを追いかけていますが、今のところその差は広まるばかりです。
ジョリビーはなぜこれほどまでに、フィリピンの人々に支持されているのでしょうか? ジョリビーの人気の秘密について探ってみましょう。
ジョリビーはフィリピン人のソウルフード!?

ジョリビーはもともと、なにを提供するお店だったか知っていますか?
正解は、アリスクリームです。ジョリビーの創業者は、中国から渡ってきた華僑
(かきょう)系フィリピン人のTony Tan(トニー・タン)です。
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ジョリビーは1975年にアイスクリーム屋さんからスタートし、1978年にはホットドック販売へとシフトチェンジしました。その後、ハンバーガーやフライドチキン・パスタとメニューを拡大し、現在に至ります。
1980年代初頭には世界のマクドナルドが満を持してフィリピンに乗り込んできましたが、ジョリビーの人気はびくともしませんでした。
ジョリビーがフィリピンの人々のハートをしっかりと捕まえているのは、ジョリビーにはフィリピン人の食習慣や好みを的確に捉えたメニューが揃えられているからです。
「ジョリビーはフィリピン人のソウルフード!」なんてことも、けっこう言われています。ジョリビーで提供されるメニューは、どれも100%フィリピン人の好みに合うものです。
たとえば、パスタです。フィリピンにあまり慣れていない友人と食事に行くのであれば、ジョリビーに出かけてミートソースのパスタを注文することをぜひオススメします。
パスタの一口目を頬ばったときの友人の顔を、じっと見守りましょう。多分、いやきっと、笑える変顔を見られることでしょう!
ジョリビーのパスタ! それは、日本人が思い込んでいるパスタとは、まったく次元が異なる味です。
うまいかまずいかは飛び越えて、とにかくひたすらに……、甘い! のです。
パスタが甘いという認識は、ほとんどの日本人がもっていません。予期していない味が口のなかに広がるため、思わず変顔を浮かべてしまうことになるわけです。
その反応を見守るのは、けっこう楽しいものです。
フィリピンの人は甘いものが大好きです。日本人の常識では甘くないはずのものが、メチャクチャ甘いなんてことはよくあります。
これはなにも、ジョリビーに限ったことではありません。フィリピンの屋台で売られているパスタにしても、ほとんど甘い味付けがされています。
日本人を含めて外人からすると、大多数にとっては受け付けられない味ですが、フィリピン人の好みには完璧にフィットするため、ジョリビーのパスタは大人気です。ハンバーガーよりもパスタやフライドチキンを注文している人のほうが、はるかに多く目立ちます。
ちなみにフライドチキンには、グレービーソースというオリジナルソースがついてきます。これもフィリピンならではです。
フライドチキンには、やっぱりライスでしょう!
http://www.itsberyllicious.com/2015/11/new-jolly-super-meals-with-your.html
ジョリビーの人気メニューと言えば、フライドチキンです。フライドチキンにセットとしてついてくるものといえば、パン……ではなく、ライスです。
フィリピン人は、お米が大好きなのです。日本人も米を主食としていますが、フィリピン人に比べると、見劣りがします。
日本人の米の消費量は1年で約70kgですが、フィリピン人は約145kgです。つまり、フィリピン人の米の消費量は、日本のおよそ二倍です。
たとえファーストフード店であっても、フィリピンの人はスナックよりも本格的にお腹にたまる料理を好みます。そのため、ジョリビーではライス付きの格安メニューがいろいろと用意されています。
こうしたメニューは、お米が大好きなフィリピン人の心をがっちりとつかんでいます。
マクドナルドでも、ジョリビーを意識したメニューが展開されています。フライドチキンとライスの組み合わせは、フィリピン以外のマクドナルドでは、あまり見かけないメニューかもしれませんね。
フィリピンの食文化に溶け込むように努めているマクドナルドですが、今のところジョリビーには大きく水をあけられています(ジョリビーグループ全体の売上高は、2015年で3,200億円を超えています。)
果たしてマクドナルドによる巻き返しはなるのでしょうか?