DAREDEMO HEROは、セブ島で貧困層への教育支援を行っているボランティア団体です。毎回こちらで、私たちの活動を少しずつ紹介させていただいています。
日本への夢の旅6日間
なんと!!! この度、私たちの支援する貧困層の子供たち7人を日本に連れて行くことが出来ました。実は今回のこの企画は、株式会社日本旅行様の記念イベントで、全額旅行会社負担で子供たちとスタッフを招聘していただけるというものでした。
出発準備
出発前からテンションが上がりっぱなしの子供たちとは裏腹に、私たちスタッフは、日々書類の山に埋もれ、迫りくる出発日との格闘をしていました。
まず必要なのはパスポートです。パスポートを申請するのにも「出生届が出ていない」「親のIDがない」と様々なハプニングの連続。まさにゼロからの出発ならぬ、マイナスからの出発となりました。
日本では考えられないハプニングの連続で、なかなか申請がスムーズに進まない中、出発日だけが無常にも迫ってきました。パスポートの申請の後には、VISAの申請、さらにトラベルクリアランスの申請が待っています。
最大の難関:トラベルクリアランス
トラベルクリアランスとは、18歳未満の子供が親の同伴なしに海外に出国する際に、児童福祉局から許可書のことです。ここフィリピンでは必要不可欠なものです。
このトラベルクリアランスの入手が、私たちを最も苦しめることになりました。
子供たちを守るための大切な制度なので、この制度自体はなくてはならないものです。しかし、頭では理解していても、毎回長時間待たされ、次から次へと提出書類を追加されると、ついイライラしてしまいます。
「大丈夫」「できる」と根拠のない自信を持つフィリピン人スタッフにも、何度も激論を交わすこととなりました。
出発準備完了
数えきれないほどのトラブルと、衝突がありましたが、それ以上の多方面からのサポートやアドバイスのお陰様で、なんとか今回子供たちを日本に連れて行く準備が整いました。
日本への出発
準備が整ったとはいえ、何が起こるかわかりません。実際に日本に到着するまで、私たちスタッフは不安でいっぱいでした。
そして空港に到着。全ての書類に問題はなく、無事にイミグレーションを通過できました!普段何気なく通過しているマクタン空港のイミグレーションですが、今回は無事通過した際には、子供たちと一緒になって大喜びしてしまいました。

1日目:初めての体験の連続
日本での経験は、子供たちにとって「初めての体験」の連続でした。
成田空港に降り立ち、まずは「初めて見る歩く歩道」に大興奮でした。続けて「初めての電車」で移動し、スカイツリーでは「初めてのエレベーター」で一気に350Mまで急上昇し、「初めて上空からの夜景」を堪能しました。
「初めてのホテル」で、「初めての温水シャワー」を浴び、「初めてのベッド」で寝ることになった子供たちは、疲れているにもかかわらず、なかなか寝付けない様子でした。

2日目:日本科学未来館→ドームシアターガイア→フジテレビ→海上バス→里親様交流会
まず、お台場への移動で乗った、モノレールは子供たちにとって衝撃的な乗り物でした。
初日に人生初の電車を経験したばかりの子供たちにとって、海の上を無人で走るモノレールは、まさに未来の乗り物です。
そうしてたどり着いた日本科学未来館において、子供たちはフィリピンでは見ることのできないたくさんの展示物を見ることができ、全てに興味津々の様子でした。特にASIMOの実演には大興奮で、日本の最先端のロボットテクノロジーを学ぶことが出来ました。
続けて見学したドームシアターガイアでは、天空に映し出される映像と音、英語の翻訳機を使って「地球の誕生」を学ぶことが出来ました。プラネタリウムすら知らない子供たちは、天井いっぱいに広がる3D映像に大興奮でした。

その後、フジテレビへ移動し、巨大なテレビ局の内部を見学することが出来ました。写真を撮るのも撮られるのも大好きな子供たちにとって、「顔ハメ看板」や、スターの等身大パネルは大人気で、こぞって写真撮影を行っていました。

その後、船上バスに乗って豊洲に移動し、最先端のショッピングモールを見学しました。モール内にあるペットショップでは、フィリピンの路上で見かける犬とは大違いの可愛らしい小型犬に、みんな大興奮。
そして何よりその価格を見て、子供たちはどよめきたっていました。
そして、2日目のフィナーレには、子供たちが楽しみにしていた、里親様との交流会を開催しました。この会では、日頃よりご支援いただき、手紙でしか交流ができなかった里親様に直接お会いし、日々の報告と感謝の気持ちを伝えることが出来ました。里親様は、子供たちにとって自分の夢を応援してくれる「心の支え」です。
はじめは緊張気味だった子供たちも、次第に緊張が解け、セブでの暮らしや学校での様子、家族のことなど話は尽きることがありませんでした。

3日目:食品サンプル作り体験・浅草寺・仲見世通り・100円ショップ・渋谷のスクランブル交差点を体験
3日目はまず、合羽橋にて食品サンプル作りから始まりました。これまでたくさんのご訪問者様から「天ぷら」の話は聞いていましたが、子供たちは実物を見たことがありませんでした。写真や話で聞いた「天ぷら」を子供たちは想像を膨らませ、楽しそうに作っていました。

その後、浅草寺を見学し、初めてキリスト教以外の「お祈り・お参り」の方法を学びました。常香炉では、一生懸命、自分たちの頭に煙をかけ、「頭が良くなりますように」と祈る子供たちが、とても微笑ましく思えました。
その後、昼食には、なんと!!浅草の老舗「三定」でてんぷら定食を実食!
朝一番に作ったサンプル品と瓜二つのてんぷら定食を目の前に、お腹を空かせた子供たちは待ちきれない様子でかぶりついていました。
仲見世通りを見学後、原宿へ移動しました。人生初のクレープを食べて、大満足の子供たちにさらにうれしい出来事が起こりました。この日、子供たちにご同行いただいたHIDEさんより、100円ショップでのお買い物スポンサーになっていただきました。子供たちは思い思いのお土産を購入することが出来ました。
中には、耳あてやマフラーなど、フィリピンでは絶対に使わないようなものを購入する子供もいましたが、普段自分の好きなものを買うことのできない子供たちが選んだものなので、温かく見守ることにしました。
その後、念願のハチ公、渋谷スクランブル交差点へと移動しました。フィリピン人は感動する映画が大好きで、ハリウッドリメイク版の「ハチ公」が大人気です。
映画で話題の「ハチ公」の像に、子供たちは大興奮し、盛んにシャッターを切っていました。スクランブル交差点を実際に渡った子供たちは、これほど多くの人がいるのに、誰一人としてぶつからないところに、子供たちはとても驚いた様子でした。

4日目:再会の連続
4日目は約2年前に当団体をご訪問いただきました横浜清風高等学校様を表敬訪問させていただきました。
在校生の方々に、校内を案内していただき、フィリピンの学校との違いに「すご~い!」の連続でした。特に子供たちの通う学校にはない、音楽室、美術室、体育館、図書館を見学し、その整った設備に感嘆の様子でした。
また、少人数選択制を実施している貴校では、一クラス5人程度で授業を行っている教室があり、普段一クラス50人以上で勉強している子供たちにとっては、衝撃の光景だったようです。
その後、生徒さんのご案内で野毛山動物園に行きました。セブにも小さな動物園がありますが、そこには蛇や鳥しかいません。まして、子供たちの多くはそんな小さな動物園にすら行ったことがありません。そのため、絵や映像でしか見たことのないシマウマ・トラ・キリンなどに初めて見る動物ばかりで、子供たちはくたくたになるまではしゃいでいました。

大興奮の中、赤レンガ倉庫へ移動しました。そこでなんと!!豪華クルージング船「ロイヤルウイング」で夜景クルージングとディナーを食べることが出来ました。ここでも驚きの再会がありました。半年前にスタディーツアーにご参加されたKOSEIさんと、偶然にもまさかの再会を果たしました。これには子供たちだけでなくスタッフもとても驚きました。素敵なご縁に感謝です。

5日目:夢の国ディズニーランド
たくさんの「初めて」のなかでも、今回子供たちが一番興奮したのが、やはり「夢の国ディズニーランド」です。はじめから絶叫系に乗せることは敢えて避けました。
というのも、乗り物自体を怖がり、気分が悪くなるとかわいそう、と考えていたからです。しかしそんな心配をよそに、「ローラーコースター!!」と絶叫系の乗り物に連続ライドする子供たち。付き添いの私たちがついて行くのがやっとの状態でした。

最終日:職業体験・ショッピング
最終日には、Kandoで様々な仕事を体験することが出来ました。本格的なユニフォームと機材を前に、子供たちはそれぞれの職業になりきって、職業体験を行いました。
子供たちが将来の夢を決める基準は、「尊敬ができて人の為になる仕事」、「家族を支える収入を得られること」の2つです。
そのため、支援当初の子供たちの夢は、「医者」と「先生」に偏っていました。なぜなら、子供たちの狭い世界では、この2つしか上記の基準を満たす仕事を知らなかったです。
しかし、たくさんのご訪問者様との交流を通じて、少しずつその選択肢が増えています。そして、今回さらに、たくさんの仕事を体験し、どんな仕事でも「人の為」に働くことができることを知ることが出来ました。
今回の経験を通じて、子供たちがそれぞれ、「人の為になって、家族を支えることのできる仕事」を見つけてくれると思います。
帰国直前の最後のショッピングでは、里親の皆さまにご協力いただきましたお小遣いでお土産を買うことが出来ました。限られたお小遣いの中から、自分のものは殆ど買わず、家族や友達へのお土産を熱心に選んでいる子供たちの姿がとても印象的でした。
やはり、子供たちにとっては「家族」が何よりも大切な存在なのだと、改めて実感しました。

帰国
そしてついに帰国です。セブに戻ると、到着が夜中の2時ごろにもかかわらず、HERO’S HOUSEには子供たちの親が集まり、愛する我が子との感動の再会となりました。子供たちは6日ぶりに会う家族に、眠い目をこすりながら、日本での経験を嬉しそうに話していました。
報告会
帰国してすぐに、今回行けなかったDAREDEMO KIDS向けに「報告会」を開催しました。子供たちは、日本で感じたこと、学んだことを他の子供たちに熱心に報告をしていました。次から次へと質問も飛び交い、子供たちの日本への関心の高さを実感しました。
来年も、皆様のご支援・ご協力を賜りまして他の子供たちを日本に招聘していただければ、これほど嬉しいことはございません。
★振り返ってみて★
天候
天候によるスケジュール変更などが一切ありませんでした。ディズニーランドに行く日の天気予報は「雨」。しかし、子供たちの願いが通じたのでしょうか。ディズニーランドでは大雨に合うこともなく、その上、ディズニーランドで働かれているAYUMIさんのお蔭で、子供たちが体験したいアトラクションを全て効率的にまわることが出来ました。
優先席での一幕
どこからか「こちらへどうぞ」「ありがとう」「どういたしまして」、という声が聞こえてきました。そこにはDAREDEMO KIDSが、優先席の近くで身につけた日本語を使って、ご高齢のご婦人に座席を譲っていたのです。
スタッフ一同、顔を見合わせて、とても胸が熱くなる瞬間でした。普段から行っている日本語学習・異文化交流が有意義なのを再確認できました。
反省点
今回の滞在中、子供たちが頑なに譲ることのなかったものが「食事」です。子供たちにはたくさんの日本食を経験してほしいとの思いから、様々なメニューをご準備いただきました。しかし、今まで食べたことのないものにトライしませんでした。
いつも食べている「チキン・ポテト・白米・コーラ・アイスクリーム」この5点が中心のメニューとなってしまいました。最近セブにもラーメン屋さんが増えていますが、やはりラーメンは子供たちにも人気でした。しかし、その食べ方はあくまでもフィリピン流です。
白米にラーメンをのせて食べる、まさに「ラーメンライス」。普段から、パンシット(フィリピン流焼きそば)などをご飯にかけておかずとして食べている子供たちにとっては、日本のラーメンもやはり、ご飯のおかずのようです。
今後は、この反省点を生かし、子供たちが食べたことのない食事に好奇心をもてるように教育していきます。

×クリームソースのパスタ
×味噌汁
×サラダ
×野菜の天ぷら
×ポテトサラダ
×カレー
△焼肉(特に牛肉)
△卵焼き
△エビチリ
子供たちからの質問
日本でのたくさんの体験の中で、子供たちからたくさんの質問が飛び出しました。
・まだ夕方5時なのに、なぜこんなに暗いの?
・車が来ないのに、なぜ赤信号で人は道を渡らずに待っているの?
・車の数が少ないのに、なぜ通りが広いの?
・エスカレーターで、なぜみんな左側に一列に並ぶの?
・なぜ道にゴミが落ちていないの?
・なぜこんなにたくさんの人がいるのに、ぶつからないの?
・なぜ吐く息が白いの?
日本にいては当たり前のことが、子供たちにとっては全てが新鮮で不思議なことばかりです。子供たちは単純に「良い」「悪い」で判断するのではなく、「新しい視点」で自分たちの暮らしと日本での体験を比較していたようです。
まさにフィリピンのリーダーに相応しい「真のグローバル人材」への第一歩を踏み出すことが出来ました!フィリピンにはないが、日本にある「素敵なもの」をたくさん発見できたようです。その体験を一人でも多くの貧困層の子供たちにシェアーしていきます。
日本の皆さま、日本にはない「素敵なもの」をフィリピンに探しに来ませんか?
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
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ご支援方法の詳細は、こちらをご覧ください。
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今後も私たちの活動を少しずつご紹介させていただきます。引き続きよろしくお願いいたします。
DAREDEMO HEROスタッフ JUNKO