先日、フィジーを訪問する機会がありました。私にとって丁度31か国目の訪問でした。
これまでの訪問のほとんどは、海外の国際会議参加や教育機関視察のための訪問です。今年で私がこの業界に足を踏み入れてから32年になりますが、この31か国で600校以上の学校を視察してきました。
世界の学校視察おたくの私にとって、以前から留学先として注目していたフィジーの学校訪問も楽しみにしていました。そして今回の視察旅行のテーマは「フィリピン留学」と「フィジー留学」の違いを見極めることでした。
実際フィジーを視察して私が感じた違いを今回はご紹介させていただきます。
フィジーの英語学校Colors Fiji English School
フィジーってどんな国か?
先ずはフィジーについての基礎知識からご紹介します。
フィジー基本情報
フィジー共和国、通称フィジーは、オセアニアの国家で、イギリス連邦加盟国である。首都はビティレブ島のスバ。南太平洋のフィジー諸島と北に500km程離れた保護領のロツマ島に位置する群島国家である。300余の火山島と珊瑚礁からなる。西にバヌアツ、東にトンガ、北にツバルがある。フィジーの住民は、先住民であるフィジー系と、イギリスが植民地時代に強制入植させた新しい住民であるインド系が多数を占める。
人口:85万人強
人種:2007年時の住民は、フィジー系が56.8%、インド系移民が37.5%、ロツマ人1.2%、ヨーロッパ人や他の太平洋の島民、華人などが4.5%
公用語:英語、フィジー語、ヒンディー語(フィジー・ヒンディー語)
参考元:Wikipedia
フィジーのナンディにある市場
フィジー料理
場所
これはフィジー観光局にあった地図ですが、肝心の日本からの時間が出ていませんね。成田から直行便で8.5時間です。時差は通常3時間ですがサマータイムの時期(11月上旬から1月中旬)は4時間。日本よりフィジーの時間が早くなります。
フィジーの英語について
フィジーは100年近くイギリスの植民地だったため、公用語の一つが英語で小学生から殆どの教科も英語で学んでおり、基本的に誰でも英語が話せます。
フィリピン人の英語は統治国だったアメリカの影響を強く受けたアメリカ英語色が強いのですが、イギリスの影響を強く受けたフィジーは、どちらかというとイギリス英語色が強いと感じました。
フィリピン英語もフィジー英語もローカライズされる段階で、現地語の影響をうけているので、当然独特の訛りや言い回しもあります。ただ、それはそれほど気にならないし、英語学校の先生になるような人は、わかりやすい英語で話してくれます。
よく訛りを異常に気にする人がいますが、英語をコミュニケーションツールの一つとして学ぶのであれば、気にしないことです。アメリカに行こうがイギリスに行こうが地域によって訛りがあります。BBCやCNNのキャスターを目指すのならともかく、そうでなければ訛りを気にする必要はないでしょう。
フィジー留学の英語学校
ネットで調べると下記以外にいくつかの学校が出てきますが、実施的にきちんと稼働しているのは、以下の3校と聞いています。
Colors Fiji English School
昨年10月に開校した今回私が視察した学校です。学校の規模は現在15~20人前後と小規模でアットホーム。グループレッスンだけでなくマンツーマンの授業も組み込まれています。
海外就職準備のコースもあり、実際に海外就職のサポートも提携機関を通じて行っています。校長はフィジー滞在も長く子育て中、2年以上にわたって世界約80か国を訪問した元旅人のYumaさん。
Head Teacherは元インターナショナルスクールの先生でフィリピン人のTessaさんです。元福岡県の地方公務員でフィジー滞在歴20年以上の日本人スタッフKenさんが学生サポートをしっかりしてくれます。日本人経営。
公式サイト:https://colors-fiji.jp
SKY English School
公式サイト:https://www.fijistudyjp.com/
韓国人経営の学校でインターンシップの手配も可能とうたっています。
South Pacific Free Bird
フィジーの英語学校の草分けにして最大手。生徒数は150人から200人ほど。
公式サイト:https://www.southpacificfreebird.co.jp/lp3/
このようにフィリピンと違い、まだフィジーには多くの学校がないので学校選びは楽でしょう。
フィジー留学とフィリピン留学の比較
まずわかりやすく表にまとめてみました。*一般的な学校の場合で比較しています。
フィジー留学 | フィリピン留学 | |
---|---|---|
授業形態 | グループレッスン中心 | マンツーマンレッスン中心 |
授業時間数 | 1日5・6レッスン | 1日6〜8レッスン。スパルタはそれ以上 |
学校施設 | 欧米の学校と同様、教室施設のみの提供が基本。学校寮は別途 | 学校敷地内に宿泊施設、カフェテリア、プールなどの施設を持つホテルのような学校も多い |
宿泊先 | 学校寮かホームステイ | 学校寮、ホテルなど。ホームステイはない |
通学 | 公共バスか徒歩 | 学校敷地内の宿泊なら通学なし。宿泊が別の場合は学校が提供する車で移動 |
学生の国籍 | 殆ど日本人のみ | 日本人韓国人が多いが、最近は台湾やベトナム人もいる |
現地人とのふれあいの機会 | ホームステイやボランティアなどを通じ、ふれあいの機会は多い | ゲートで囲まれて外と遮断されている学校も多く、現地人との関われる機会はあまり多くない |
食事 | ホームステイ先か自炊か外食 | 殆どの学校が食事を提供。または外食、自炊 |
フィジーの英語学校の授業の様子
ホームステイ先の家と学生の部屋
プロの留学専門家が感じたフィジー留学とフィリピン留学の違い
私が感じた両者の大きな違いは、受け入れの学校が学生に対して提供するものに関する考え方の違いがまずあります。
つまり学校が何を学生に提供しようとしているかの違いです。
フィリピンの英語学校はとにかくストイックなほどに英語力を短期で効率的に上げることに学校が全力で取り組んでいます。
そのために授業はマンツーマンで、授業時間や学生の拘束時間もとても長くなっています。また、学生が英語学習だけに専念できるように、敷地内に宿泊施設を併設したり、食事の提供を行っています。掃除や洗濯サービスまであります。ある意味過保護なほどのケアーの体制を良しとして学生に勉強に専念させています。
片やフィジーの学校は、そこまでのケアーはありません。授業も決してスパルタではなく、学校時間以外での現地生活や現地人との交流も留学の範疇ととらえて、そのような機会も積極的に提供しています。
ホームステイ手配などはその良い例だと思います。フィジー方式はある意味世界の英語学校のグローバルスタンダードに沿ったものだといえましょう。その一方フィリピンの学校は限りなくガラパゴスで独自進化を遂げた特殊な形態です。
どちらのタイプを選ぶかは、留学希望者がどんな留学を希望するか、そして留学に何を求めるかが明確であれば、自ずと決まってきます。
フィジー留学の本当のメリット
私が感じたフィジー留学の本当のメリットは、学習というよりも、フィジーでの生活体験をすることで得られるメリットでした。
世界一幸せな国フィジー
「幸福度調査」と呼ばれるスイスの「WIN/Gallup International」が毎年発表している「純粋幸福度」を測る調査があります。その調査でフィジーは世界一位になる常連の国なのです。因みにこの調査で日本は25位(2016年)です。
今回はたった3日間の滞在でしたが、フィジーは日本よりずっと貧しいけれど、フィジー人は日本人よりずっと幸せそうだと感じました。
Colors英語学校のスタッフで元日本で公務員をしていた現地生活20年以上のKenさんも、フィジー人のフレンドリーさや人の良さを強調していました。フィジーではどこへ行っても、誰と目があっても「Bula!(こんにちは)」と言って笑顔の挨拶をされます。
全く知らない人に遠くからでも満面の笑顔で「Bula!」とどこへ行っても挨拶されると、自分もいい気持になって自然と笑顔でだれにでも自分から挨拶するようになるから不思議です。不思議とフィリピンではあまりそのような印象は受けません。
フィリピン人もフレンドリーですが、東南アジアの新興国として資本主義経済の仕組みにすっかり取り込まれ、元来の素朴さなどが社会全体として感じにくくなっています。
先日久しぶりに訪問した中国も、今月訪問するベトナムも同様で、経済第一主義、物欲主義的な社会になってしまっている印象を受けます。
翻ってフィジーですが、彼らは非常におおらかで、個人主義ではなく社会の共生を根底の考えに持っているようでした。あくせく働いて、未来のために貯蓄する考えなどないように感じられます。今日を目いっぱい楽しく生きる、困っている人を助けるのが特別のことではなく当たり前の社会になっています。
いつも笑顔いっぱいのフィジー人
世界一幸せな国フィジー
そんなフィジーで留学生活を送ると、自分の生き方や人生について考え直すいい機会になるはずです。実際私が話した留学生や学校関係者もこの点を強調していました。
「本当の幸せとは?」「自分の人生とは?」「共生社会について」など今まで自分の中で持っていた、価値観を見直すきっかけになりました。これって他の国の留学ではなかなかえられない貴重なメリットだと思います。
もちろん物価が安いので留学費用が安くなる、治安も悪くない、多くのビーチリゾートを持っている、オセアニアや欧米人のバカンス先なので、そのような人たちと接する機会もあるなど、他にもメリットはありますが、「世界一幸福な国フィジーの人々と接する」ことが一番のメリットだと感じました。
知らない人ともすぐ親しく話し始めるフィジー人
皆さんも旅行でもいいので、是非、一度世界一幸福度の高い国フィジーに行ってみてください。
参考図書
Colors Fiji English Schoolの校長Yumaさんの著書
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国際教育事業コンサルタント
星野達彦