この記事では「失業保険をもらいながら海外留学をしてみたい」という方に基本情報や、具体的な方法をまとめました。
現在お勤めの方の中には、転職や退職に向けた手続きを進めている方や、具体的に転職活動まではしていないものの、次のキャリアを意識している人もいると思います。
もしくは新型コロナウイルスの影響で失業してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
今の会社を辞めて数ヶ月休暇になるなら、ぜひ日頃できないスキルアップをしたいところ。
そこでおすすめなのが現代の3大スキル(英語・IT・財務)の一つ、英語です。
残念ながら今は新型コロナウイルスの影響で、海外渡航はおすすめできませんが、まとまった期間がとれるこのタイミングは、本来であれば間違いなく海外留学に最適です。
知識としては知っておいて損はないでしょう。
というわけで、今回は失業保険の受給と留学を両立する方法をご紹介します。
【原則】失業保険をもらいながら留学することは基本的に不可能!
さて、期待してこの記事を読み始めていただいた方もいるかもしれませんが、いきなりちょっと悲しい結論から申し上げなければなりません。
「失業保険をもらいながら留学すること」は、基本的に不可能なのです。
ただしポイントは「もらい”ながら”」。
うまく工夫することで、失業保険は失業保険としてもらった上で、海外に留学することはできます。
あくまで、「もらい”ながら”」がNGなのです。失業保険と海外留学の、同時進行ができないだけなのです。
まずは失業保険の基本的な事項から振り返ってみたいと思います。
失業保険の基本
失業保険というものは、会社を辞めたら誰でももらえるというものではないのです。
失業保険を受けられる資格がある人は、この表題のとおり「就職する意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態」の人だけなのです。
「すぐ働きたくて就職先を探してる人」ってところですね。
なんとなく「失業保険=会社を辞めたらもらえるもの」と思ってる人もいると思いますが、実際は「失業保険=退職後、次の就職に向けた活動中にもらえるもの」なのです。
まずはこの原則を改めて理解しましょう。
留学をする人は「就職する意思がある」とみなされない
重要なのがこの点です。
それなりの期間留学しようとしている人のことを「すぐ働きたくて就職先を探してる人」と言えるかというと…とても言えないですよね。
すなわち、「留学するつもり=就職する意思がない」とみなされてしまい、失業保険の適用対象外になってしまうのです。
最初に、失業保険をもらいながら留学することの同時進行は不可能と書いた理由が、まさにこの点。
またもう1点、失業保険をもらいにくい手続き上の理由があります。
4週間に1度の「失業認定」の手続きが困難
失業保険をもらうためには、4週間ごとに「失業認定」の手続きをする必要があります。
これは要するに状況確認です。
就業していないこと、および就職活動中であるということを認定してもらう必要があり、これをしないと失業保険はもらえなくなってしまうのです。
これはハローワークに行って手続きをしなければならないため、長期間海外に行っているようでは対応不可能となるでしょう。
というわけで「失業保険をもらい”ながら”留学する」は、規則上の理由と、実務的な理由により困難なのがわかったかと思います。
では、両立する方法は絶対にないのか?
…実は、そんな事はありません。
いくつかの制約はありますが、失業保険をもらい、留学もするという方法はあるのです。
ここから、この難しいふたつを両立させる方法について説明していきたいと思います。
失業保険の受給と留学を両立する方法
それではここから、失業保険はもらったうえで留学もするという方法についてご説明していきます。
重要なのは「どこでどんな手続をするか」というタイミングです。
そのため、途中で一度失業保険の期間に関する基礎を振り返ったりもしますが、順に読んでいっていただけたらと思います。
【①超正攻法】失業保険を全額もらってから留学する
まず1つ目は「失業保険を全額もらってから留学する」という方法です。
退職後、ハローワーク等で必要な手続きを済ませ、職探しをしながら失業保険をもらい、もらいきったところで留学に行くという方法です。
…と丁寧に説明する必要もないほどの超正攻法。当たり前だろうと言われかねないくらいの方法ですね。
さて超正攻法の説明を終えたところで、一度基本的な情報の再確認をしましょう。
それは「退職してから失業保険をもらうまでどれくらいの期間がかかるのか」という点です。
【基礎情報】退職してから失業保険をもらうまでの期間
先ほど超正攻法ということで、失業保険を全額もらったあとで留学するパターンについて記載しましたが、そもそも失業保険は退職後どれくらい経ったらもらえるのでしょうか?
改めて振り返っておきたいと思います。
なお、ここでは下記の条件のときの例で書いてありますのでご注意ください(多くの人が該当するとは思いますが)
・自己都合退職であること(会社による解雇ではない)
・在籍中の雇用保険期間が12ヶ月以上あること
退職日を0日とした場合、
約10日後に離職票を入手します。(退職した会社から送られてくる)→失業認定手続きのためハローワークへ行く
そこから7日間は「待機期間」となり、求職もできない期間となります。そこから約3ヶ月間は給付制限があり、すぐには雇用保険がもらえません。職探しをしながら3ヶ月間を終えたら給付開始です。
引用元:https://taisyoku-shitara.com/shitsugyo-003.html
つまり、退職してから雇用保険の給付開始までは、最短でも4ヶ月くらいはかかってしまうのです。
また、失業保険は1回でまとめてもらうのではなく、分割でもらう形となります。そのためには、4週間ごとにハローワークに行って失業認定を受ける必要があります。
失業保険はなかなか簡単にはもらえるものではないのですね。
さて、ではこの期間の考え方を踏まえて、失業保険の受給と留学を両立する技を各種ご紹介します。
【②短期留学】失業認定日の間の期間を使って留学する
失業保険をもらいながら留学する方法の2つ目は、失業認定日の「間の期間」を使って留学する方法です。
先ほど失業保険をもらうまでの期間について説明しましたが、3ヶ月間の給付制限を経てからは4週間ごとにハローワークに出向き、失業認定を受ける必要があります。
この4週間の間の期間を使って留学するという方法です。
留学する時期と失業保険をもらう時期が比較的近いため、資金効率は良い方法といえるでしょう。
ただしこの方法を取るためには、留学期間はこの4週間以内に収める必要があります。
留学期間が短期の人には最適ですが、長く留学したい人には不向きの方法と言えます。
【③3ヶ月以内の留学】失業保険をもらう前に留学する
先述したとおり、自己都合で退職した人は失業保険をもらうまでの間に3ヶ月間の給付制限期間があります。
この給付制限期間を使って留学する、というのがこの方法。
もちろん留学期間は3ヶ月以内に収める必要がありますが、3ヶ月もあれば充実した学習ができますし、留学先都市や期間の選択肢も広がります。
デメリットとしては、この方法だと失業保険の給付開始前に留学することになりますので、あらかじめ留学資金を確保しておく必要があるということです。
当然ですが、留学期間は長ければ長いほど相対的に費用が高くかかりますので、上手くバランスを取る必要がありますね。
2-5.【④長めの留学】留学を終えてから失業保険の手続きを始める
上述の方法は、留学期間を1ヶ月以内または3ヶ月以内にするなど、留学期間に制約をもうける方法でした。
しかし、人によっては「3ヶ月では足りない。もっと長く留学したい」という考えの人もいると思います。
例えば半年くらい留学したいという場合ならば、留学を終えてから失業保険の手続きを始めるという方法があります。
具体的に留学期間をどれくらいとれるかは人によって異なります。
例えば30歳未満の場合
・退職する会社での勤務期間が5年未満…留学可能期間は約6ヶ月
・退職する会社での勤務期間が10年未満…留学可能期間は約5ヶ月
となります。
このあたりの詳細の考え方については後ほど記載します。
上記で紹介した「③」の方法と同様に、こちらも留学を終えてから失業給付をもらう形となります。また、給付開始時期は「③」の方法よりも遅くなりますのでご注意ください。
なおこの方法をとるならば、退職するにあたって1年弱くらいの生活費+留学費用を確保しておく必要があるという点は認識しておくようにしてくださいね。
失業保険の基本
さて、失業保険をもらって留学もするための方法をいくつかご紹介しましたが、これらの方法を使いこなすために、改めて失業保険の基本的な知識を理解しておきましょう。
失業保険をもらうための条件
失業保険をもらうためには、下記の2つの条件を満たしている必要があります。
1. ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
2. 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。
簡潔に言えば「1年以上働いて辞めた。でもすぐ次の職に就く意思がある人」といったところです。
(厳密には「2」の項目がちょっとややこしくて、途中で長期休職などが含まれていたらその月は除外されませんので、「通算勤務期間が1年」と言えますね)
もらえるかどうかの条件自体はシンプルだと思います。
失業保険はどれくらいの期間もらえるのか
次に失業保険をもらえる日数です。
これを決める要素は2つ
・年齢
・勤務年数
です。
まずは下記の表をご覧ください。
引用元:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
例えば30歳未満の人の場合、
勤務年数が5年未満…失業保険の受給期間は90日間
勤務年数が5年以上10年未満…失業保険の受給期間は120日間
となります。
また、失業保険にはもらえる期限があります。
それは「離職後1年以内」
例えば上記の30歳未満で勤続年数5年未満の人は、本来ならばもらえる失業保険は90日分ですが、離職して10ヶ月経ってから受給を開始した場合、残り2ヶ月で1年経ってしまうため、2ヶ月分(60日分)しかもらえなくなってしまうのです。
失業保険を最大限にもらうためには、受給期間と受け取り開始日をしっかり計算し、それを踏まえた上でどれくらいの期間留学に行けるかを検討するようにしてください。
失業保険は分割でもらう
失業保険は一括で支払われるものではなく、分割で受け取るものになります。1ヶ月毎にハローワークに行き「失業認定」を受けることで失業保険をもらうことができるのです。ちょっと手続きとしては面倒ですね。
とはいえ、そもそもが保険なのですから過剰にもらえるものではありません(一生もらう機会がない人だっているわけですし)。あくまで、失業している間の補助としてもらうという原則は、忘れないようにしましょう。
失業保険でもらえるお金はトータルでどれくらい?
というわけで、失業保険は一体どれくらいもらえるのでしょうか?気になる人も多いと思います。
下記のモデルで算出してみたいと思います。
年齢:28歳
勤務年数:6年
月給:150,000円 ※退職直前のもの
この例で行くと、もらえる金額は1日あたり4,000円。
受給期間は120日ですので、もらえるお金の合計は48万円。
なかなかの金額ですね。
計算式は
6ヶ月間の月給合計÷180=1日あたりの賃金
→1日あたりの賃金×給付率=1日あたりの失業保険給付額
です。
確実にもらって、留学費用や次の就職に向けて活用するようにしてください。
まとめ
失業保険をもらって留学に行く方法についてご紹介しました。
社会人になると、長期の海外留学をするのは困難ですが、退職し次の職を見つけるまでの間をうまく活用すれば、失業保険ももらった上で留学もすることができるのです。
失業保険を最大限にもらうためにはいろいろと制約があるものの、留学期間は1ヶ月未満~約半年くらいまでと幅広く選択できますので、多くの人の需要に応えられるはずです。
特にフィリピン留学であれば、1ヶ月〜3ヶ月でも1日8時間のマンツーマン授業で、ほぼ英語漬けの生活を送ることができます。短期留学でもグッと成長を感じることができるでしょう。
転職・退職を検討されている方は、次のステップアップに向けて失業中の海外留学先として、フィリピン留学を検討されてみてはいかがでしょうか。
ただし注意点、失業保険の本来の目的からすれば、上記でお伝えしていることは本来の趣旨と異なります。
また、給付金は受け取れるかもしれませんが、間の受け取りは時間のロスがあり、金額をもらう以上に時間を損しているとも言えなくもありません。
そのため、ご自身で考えるキャリアプランをまずは信頼できる方にご相談されることをおすすめします。
※失業保険の本来の趣旨とは異なるため、当サイトとしてご紹介した方法を推奨しているものではありません。詳細はご自身でお調べください。