こんにちは。
TARGET Global English Academyの石原です。
2018年も無事にスタートさせることができました。
去年は学校の拡大、多国籍化を進めることができ、TARGETにとって飛躍の年となりました。2018年も更なる改善を繰り返して、より学生さんの満足度の高い学校にしていきたいと考えています。
世界で通じる英語を意識する重要さ
TARGETは、今年で開校5年を迎えます。それにあたり、今一度初心に戻り、重要なことを確認したいと思っています。
それは「世界で通じる英語(Global English)」というものです。
これは、開校当初から僕が言い続けていることなのですが、90%以上に必要とされる英語レベルは、上級レベルでもましてやネイティブレベルでもありません。
私は海外で10年以上生活・ビジネスをしていますし、オーストラリアの永住権も持っています。この話を日本で、私を知らない人に言えば「英語はもうネイティブレベルですよね」と言われます。
しかし、私の英語力は残念ながらネイティブレベルからはかなり遠い位置にあります。
これは、私がもともと英語嫌いだったということにも起因しますが、多くの方が必要としている英語力は、実は自分が思っている以上に低いレベルであるということの裏返しでもあります。
実際にオーストラリアに8年住んで感じるのは、医者、弁護士、パイロット、政治家などのハイレベルな業種であってもなまりの強い英語を持つ人、流暢な英語を話せない人も少なくないということ。しかし、皆さん全く問題なく業務をこなしています。
東南アジアなど母国が英語でない国であれば、例え公用語が英語であってもその傾向はより強くなります。
今世界で使われている英語の主流は、ネイティブレベルの英語でも上級レベルの英語でもなく、通じる英語、まさにTARGETの正式名称にもなっている「Global English」です。
一部の例外の方を除き、まず皆さんが目指すのはこの「Global English」レベルです。
最初から上級レベル、ネイティブレベルを意識すれば、いつまで経っても英語コンプレックスから抜け出せず、また、やらなければいけない分野が非常に幅広く、本来目指すべきポイントに近づくスピードが遅くなってしいます。
さらに初級者に特化します
TARGETをひとことで表すと「初級者に強い学校」です。
初級者が効率的に英語を話せるようになるSpeaking Master メソッドを開発導入していましたが、2017年後半から更にこれをバージョンアップさせたNew Speaking Masterメソッドの開発に着手し、今年導入します。
これにより、更に初級者が効率よくGlobal Englishに到達できるようになります。
マンツーマン授業がゆえの問題点
フィリピン留学の魅力は、なんといってもマンツーマン授業。初心者であっても自分のペースで授業を進めることができ、気になったらいつでも授業を止めて質問できるというとても大きな魅力があります。
しかし、ここに大きな落とし穴が2つありました。
1.授業の本題以外のことに時間が割かれる
学生さんのペースで授業を進めていけるのは良いのですが、学生さんが授業の本題ではない場所を気になって質問した場合、例えば冠詞の「a」と「the」についてなど。
先生は質問を受けるとそれを説明することになり、時にはその話がどんどん進んでしまい、本題の説明が殆どされないまま授業が終わってしまうということがありました。
2.完璧を求めてしまう
また、先生もなるべく正しい英語を細かく教えようとします。例えばライティングの授業で、学生さんとの会話中についつい発音矯正を随所に入れてしまうケースも目立ちます。
学生「Is it Wrong? (イズ イット ウロング)」
先生「No No. Wrong. Wrong. (ウロングではなく、ゥローング)、Repeat after me. Wrong.(では繰り返してみて。)」 ・・・
ちょっと文章にすると伝わりにくいのですが、このような授業の主題ではないやり取りが、授業中に何度もされるケースがあります。
もちろん通じないくらいのレベルであればすぐに矯正しないといけませんが、そうでないのであれば、授業の主題に集中したほうが学生さんの英語力をより効率的に伸ばすことができます。
先生はついつい完璧に近い英語を教えようとして、主題以外のことも丁寧に説明してしまいがちです。
英語力の伸びと学生さんの満足度は一致しない
なぜ、このような状況が起こってしまうかというと、先生はなるべく学生さんの期待に応えたいという思いがあるからです。
質問されたことはついつい細かく教えたくなりますし、発音も修正してあげた方が学生さんが喜びます。しかし、これは学生さんの表層のニーズに引っ張られてしまっている状況です。
何を勉強「しない」かを教えることが大事
しかし、Global Englishへの短期間での到達を目標にするのであれば、細かな文法や発音などは気にせず、まず幹となる部分に焦点を絞って勉強を進めていく事が最も効率的です。
つまり、何を勉強するかということを教えると同時に「何を勉強しないか」も教えることが必要になります。先生は質問を受ければ、ついついそれについて解説をしてしまいがちです。
そして、限られた授業時間が主題でないない細かいことに使われ、本来習得すべきポイントを理解することなく、授業が終わってしまいます。
ですから、先生は学生さんから質問がきたときに授業の主題を見失うことなく、「それは今勉強すべきことではなく、重要なのはここです」と指導できるスキルと知識が必要になります。
しかし、これは実際に具体的なところまで落とし込もうとするとかなり複雑なことになります。また、各先生が独自の解釈で行ってしまうと学生さんが混乱してしまうことにも繋がるので、具体的な部分まで落とし込みができていませんでした。
判断の軸を共有する
前述の通り、今年TARGETでは初級の学生さんがさらに早くGlobal Englishに到達できるように、New Speaking Masterメソッドを導入します。
それにあたり、先生達が上記の問題をクリアする必要が出てきました。重要なことは、授業でやらないところを自信をもって決定できる「判断の軸」の共有です。
その点をしっかり先生達に理解してもらうべく、先日キャンパスマネージャーのMasonが、ワークショップを開催しました。
去年のキャンパス拡大に伴い、現在TAGETには約100名の先生が在籍しており、全員を収容できる教室が無くなってしまいました・・・。なので、今回は屋外で開催となりました。最初は広々していたキャンパスも、今では手狭に感じられます。ここも何とかしなければと。
今回のワークショップのキーワードは、
Intelligibility (聞き手にとっての明確さ)
Feasibility (実現の可能性)
Leverage (重点を置くべき場所)
となります。
1のIntelligibilityについて、Global Englishは「相手(聞き手)に言いたいことが伝わるか」というところがポイントになりますが、対面でのコミュニケーションの場合は、相手のことを理解する上では、実は言葉以外にも様々な要素が関係してきます。
その要素を理解する上で、参考になる「メラビアンの法則」というものがあります。
これは「相手を理解する時には、話の内容などの言語情報は7%に過ぎず、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目、ボディーランゲージなどの視覚情報が55%の割合で構成される」という法則。
これは、日常の環境ではそのままは利用できませんが、それでも実は相手に理解してもらうためには、口調、話し方、ボディーランゲージなどの要素が非常に重要であることを示してくれています。
特に初級者の場合は、話すスピード、アクセント、ボディーランゲージなどを意識するだけでもかなり相手に伝えられる範囲が広がります。
Global Englishは何も正しい文法や単語だけはなく、言いたいことを伝える様々なポイントも意識することが重要となります。
2のFeasibility(実現の可能性)については、学生さんが留学できる期間や授業時間は限りがあるということをしっかり認識することです。
時間が無限にあるのであれば、細かいところまで突っ込んで教えることも良いのかもしれませんが、授業は1コマ50分ですし、学生さんの就学週数は平均で8週間程度、もちろん半年程度の長期の学生さんもいらっしゃいますが、1〜2週間の短期の学生さんもいらっしゃいます。
そういった限られた時間で、いかにGlobal Englishレベルに到達させるか、近づかせるかということを意識できれば、自然と細かすぎるところや、授業の主題ではない発音矯正にまとまった時間を割くことがなくなります。
3のLeverage(重点を置くべき場所)は、2とも被ってくるところですが、どこに授業の重点を置くかということをしっかり意識することです。
学生さんの希望や特性を考えて、この場所に重点を置けば、この学生さんが一番英語力が伸びるであろう場所を特定しLeverageをかけます。
例えば、発音もアクセントもどちらも英語学習の1つの要素ですが、相手に理解してもらうには発音よりアクセントの方が重要です。例えば、バナナはアクセントの位置さえあっていれば、ボナナでもブナナでもベナナでも通じます。
これが文章になっても同じです。全ての発音やアクセント、文法などを逐一直していたのでは時間がたりませんし、学生さんも覚えきれなくなり、英語力の伸びのスピードが遅くなります。
それを実感してもらうために、ワークショップ中にチームに分かれて、課題に挑戦してもらいました。
そして、各チームの答えをまとめて代表者にチームの答えを発表してもらいました。
やはり、各チームとも重要視するところの差がありました。
各々考えがあっての答えでしたが、上記の3点を軸に再度考えていけば、どちらの方がより早くGlobal Englishに到達できるのかという答えにたどり着けます。
この概念をしっかり理解するのは、1日、2日では到底できるものではなく、チーム全体、学校全体となれば数か月単位で繰り返しトレーニングすることで、各先生が本質を掴めるようになる非常に根気のいる工程が必要になってきます。
自由度のある授業での最適な環境
学校により、カリキュラムがガッチリ決まっている学校主導タイプ、学生さんに一任されている2タイプがあります。
学校主導型は一定の高い効果があるのですが、やはり学生さんの特性により柔軟性を持たせることがマンツーマン授業の最大の魅力でもあります。
一方学生さんに一任型だと、学生さんが包括的な視野を持たないとLeverageをかける場所を間違え、なかなか英語力を上げられないということも起こります。
TARGETはここにいち早く気が付いて、英語力が高い日本人マネージャーが学習面のサポートができるようにしたり、新入生に日本語での学習ガイダンスを行ったりして、学生さんが迷う要因をできるだけ排除してきたのですが、まだ改善の余地がありました。
しかし、TARGETは前述の方法を各先生に落とし込むことによって、学生さんの特性に合わせた柔軟な対応が可能なまま、英語力の伸びのコアになる部分からはずれることなく、授業を進めていける体制となります。
もちろん、このやり方は非常に手間と時間がかかり、正直かなり面倒くさいです。
その上、英語学校でありながら「細かいところまで勉強しなくていい」「発音などは通じればいい」「ネイティブレベルの英語力は身につかない」と言い切っているので、夢をみる学生さんからは敬遠されることもあります。
たしかに、オールマイティに勉強できます! 全てを限られた時間内でも教えられます!卒業時はネイティブレベル! と実現不可能なことを謳うこともできますし、その方が多くの集客を得ることができるでしょう。
しかし、我々TARGETは愚直にも初級者の学生さんが、世界で通じるGlobal Englishに少しでも早くリーチできる環境を作っていきます。 そして、それこそが長期的視野でみれば、学生さんの満足度を最も高くする方法であると考えています。
たしかに派手さは全くない学校ですが、留学の本丸である教育部分への情熱はどこにも負けないと自負しています。
TARGETは今後も学習面にとことんこだわっていきたいと考えています。
TARGET Global English Academy
石原智之